お腹の赤ちゃんの体は、妊婦さんが食べたものを栄養としてつくられていきます。妊娠前は食べたいものを好きなだけ食べることができますが、妊娠中は栄養バランスなどいっそう気を配りたいところです。赤ちゃんがすくすく育ち、妊婦さんの健康を維持するため、ここでは、積極的に取り入れたい食べ物・避けたい食べ物をご紹介します。
妊娠初期に始まる味覚の変化
妊娠初期、今まで好きだったものが食べられなくなるなど味覚の変化が出てきますよね。これは、妊娠すると分泌されるホルモンによる眠気やだるさ、胃のむかつきなどの「つわり」による症状です。症状は人それぞれで、つわりを全く感じない人もいれば重い人もいます。今まで好物だったものが食べられなくなったり、特定のものばかりを食べたくなるなど、食欲に変化が見られたりします。
吐きづわりや胃のむかつきが激しいときは、「食べられるものを食べられる時に食べられるだけ」で大丈夫ですが、食べづわりのときや元気になり食事を楽しむことができるようになったとき、赤ちゃんと妊婦さんの体のために食べ物に気をつけなくてはいけません。
妊娠中に積極的に食べたい物
■「葉酸」が豊富な緑黄色野菜
妊娠中は特に意識して摂取した栄養素の代表が「葉酸」です。緑黄色野菜には葉酸が豊富。葉酸は細胞分裂に不可欠で、神経管の先天異常の発症リスクを低下させるなど、赤ちゃんの成長を促し、授乳中には母乳づくりのサポートをしてくれます。また、緑黄色野菜には、健康に過ごすために必要なビタミン類や、鉄分、食物繊維、カルシウムなども豊富に含まれています。
オススメ食材・・・モロヘイヤ、ほうれん草、春菊など。
かぼちゃは、血行促進し体を温める効果があるビタミンEと一緒に摂取することで免疫力が上がります。
■鉄分が豊富な食材
女性は普段から鉄分が不足気味ですが、妊娠中は特に注意!赤ちゃんにも鉄分が運ばれるためさらに鉄分不足に。すると貧血になりやすくなってしまいます。
オススメ食材・・・牛肉、あさり、まぐろ、かつお、納豆、ほうれん草、切り干し大根など。
ビタミンCと一緒に摂取すると鉄の吸収を良くします。
■たんぱく質
赤ちゃんの体や脳をつくるために重要となる栄養素がたんぱく質です。肉や魚は良質なたんぱく質が摂れます。また、大豆製品は、つわりで肉や魚を受け入れないときにもオススメです。納豆は赤ちゃんの骨を強くするビタミンKが含まれています。枝豆は葉酸も含んだ優れもの。
オススメ食材・・・肉の赤身やささみ、魚の赤身、納豆、豆腐など。
■カルシウムを含む乳製品
カルシウムは赤ちゃんの骨や歯をつくります。
オススメ食材・・・牛乳、ヨーグルトなどの乳製品、玄米などに付いているぬかや胚芽、大豆製品、小魚、小松菜など。
乳製品は手軽なうえ、たんぱく質や脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの5大栄養素も含まれている優れものです。また、玄米などの精製していない穀類に付いているぬかや胚芽は、カルシウムやビタミン類も豊富で栄養素バランスよく摂取できます。
摂取を避けたい食べ物・飲み物
妊娠中で注意をしたいことは、食べたものが胎盤を通してお腹の赤ちゃんに届くため、赤ちゃんの成長や発達に影響を及ぼす可能性があることです。
■アルコール
赤ちゃんの成長や発達に影響を与える可能性があります。
■カフェイン
赤ちゃんの発育が阻害される可能性があるため、摂りすぎには注意しましょう。
■刺身(生魚)や生の魚卵
誤った食べ方で魚に含まれる水銀が取り込まれ胎児の発達に影響を与えたり、食中毒を起こすと胎児に悪影響です。焼く・煮るなど十分に火を通してから食べましょう。
■生卵
生魚同様に食中毒を引き起こす可能性があるので、十分な加熱が必要です。
■生肉にナチュラルチーズ
妊娠中はリステリア菌に感染しやすくなります。リステリア食中毒にならないよう、ユッケやレアステーキ、生ハムなどの生肉やしっかり加熱されていない肉に加工品、ナチュラルチーズは、食べないようにしましょう。いずれにしても十分な加熱が必要です。
■ヨウ素を含む昆布など
ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料で、人間にはなくてはならない成分ですが、摂りすぎは赤ちゃんの甲状腺機能が低下するといわれています。海藻類に多く、特に昆布には多く含まれています。
■ヒ素を多く含むひじき
食物繊維やミネラルが豊富で低カロリー。一見妊婦さんには良さそうな食材ですが、ヒ素が多く含まれるため、食べ過ぎには要注意。健康被害をもたらす恐れがあります。
■ビタミンAを多く含む食品
こちらも人間にとっては必要な栄養素ですが、妊娠初期は特に注意。ビタミンAの摂りすぎは、赤ちゃんの形態異常を引き起こす可能性があるといわれています。特にレバーやうなぎに多く含まれています。摂りすぎないよう気をつけましょう。
妊婦さんが美味しく食べて赤ちゃんにも良い影響
意外なものもありますよね。あまりにも食事制限をしてしまうと、妊婦さんのストレスに繋がる場合もあります。バランスの良い食事を美味しく食べて幸せな気持ちになり、赤ちゃんも幸せな中ですくすくと成長できるでしょう。