夫婦生活の上で大きな問題となる「不妊」。近年では治療法などが確立されて来ましたが、やはり気になるのはその費用ですよね。そこで今回は、不妊治療にかかる費用について解説していきます。
目次
1.「不妊」とは?
2.不妊治療の種別と費用
3.不妊治療の補助制度
4.不妊には早期の対策が必要
1.「不妊」とは?
不妊とは、妊娠を望む男女に子どもが出来ない状態を指します。WHO(世界保健機関)は、「避妊をしていないのにも関わらず12ヶ月以上妊娠に至れない状態」と定義しています。
晩婚化が進む日本では特に関心が高まっており、2015年に厚生労働省が実施した「第15回出生動向基本調査」によると全国の夫婦のうち18.2%が不妊治療を経験しているそうです。
2.不妊治療の種別と費用
現在大きな関心が集まっている不妊治療ですが、どのようなものがあり、どれほどの費用がかかっていくのでしょうか。続いては不妊治療の種別と費用について解説していきます。
●タイミング治療
タイミング治療は、不妊の原因が分からない場合にまず実施される治療法です。
医師のホルモン検査に基づき排卵周期を算出し、時期に合わせて性交渉を行う指導になります。保険適用で1回5000円程度の費用となっており、不妊治療のなかでは比較的安価です。おおよそ6ヶ月ほどの治療で効果が出るとされています。
●人工授精
タイミング治療の効果がなかった男女には、人工授精による不妊治療が実施されます。
人工授精とは排卵周期に合わせて人為的に精子を子宮内に注入する手法で、人工という名称ながら比較的自然妊娠に近い方法となります。
自然妊娠に近い分、一回ごとの成功率が低く数回に渡って治療を受ける必要があります。保険適用外となり、1回1万円~3万円程度の費用がかかってしまうことがネックです。
●体外受精・顕微授精
人工授精より更に高度な治療として実施されるのが体外受精・顕微授精です。
治療内容としては、外科的手法や排卵誘発剤を用いて卵子を取得し、体外で精子と人為的に受精を行い、培養した受精卵を体内に戻して妊娠を目指す、といったものになります。
顕微授精の場合は医師の手で受精を完結させるため、50〜70%という高確率で妊娠を可能にすることが可能です。
大掛かりな治療法となるので費用はぐんと高まり、一回あたり20万円~70万円はかかると言われています。その分効果は高く、少ない試行回数で妊娠へと至ることが出来ます。
時間をかけて不妊治療に向き合っていけるのであれば、負担が少ないタイミング治療を行うことがオススメですが、一刻も早く不妊対策をしたい方や高齢出産を考えている方、不妊治療の効果が出ない方は、人工授精・体外受精についても検討していくべきでしょう。
3.不妊治療の補助制度
厚生労働省は、自己負担となり高額な費用がかかる治療法を「特定不妊治療」と位置づけ、経済的負担の軽減を図っています。補助制度の対象者は、
①法律上で婚姻を結んでいる
②特定不妊治療以外では妊娠が見込めないと医師に診断されている
③治療期間初日における女性の年齢が43歳未満
④夫婦合算の所得が730万円未満(※所得…給与-給与所得控除)
といった条件を満たしている夫婦になります。1回の治療につき15万円が支給され、6回まで受けることが可能です。また、初回治療には倍額の30万円を受給することができます。
厚生労働省の調査では、平成23年度には112,642件の支給実績があり、平均助成回数は1.65回というデータが出ています。助成金を通して、多くの夫婦が子どもを授かることに成功しているんですね。
参考文献…不妊治療をめぐる現状
4.不妊には早期の対策が必要
一般的に、健康な若い男女でも1回の性交渉で妊娠に至る確立は3割程度で、精子・卵子の老化とともにその確率はどんどん下がっていくとされています。不妊治療やその前段階である妊活などについて、パートナーの間で早期からしっかりと考えていくことが重要と言えるでしょう。